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佐々木朗希メジャー挑戦に「25歳ルール」の壁!日本人メジャーリーガー誕生のカギはポスティングシステムにあり

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千葉ロッテマリーンズ投手の佐々木朗希選手(22)が、来季の契約更改をしていないという事態を受けて、ここ数日野球ファンを騒がせていましたね。

2月は、各球団ともに来季に向けてのキャンプに入る時期であるため、12月中に契約更改をするのが慣例でもあります。

※参考(2024年沖縄キャンプ地情報)

そんな大事な時期だからこそ、いまだに契約を更改していない佐々木朗希選手への懸念と関心が集まっていました。

今回、話をややこじれさせている原因に、過去メジャーリーグに移籍した日本人選手も頭を悩ましたであろう「25歳ルール」があります。

この記事では、「25歳ルール」ってそんなに重要なの?ということと、日本人選手がメジャーリーグへ移籍するために乗り越えてきた問題や、移籍方法について調べてみました。

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佐々木朗希選手について

佐々木朗希選手は、甲子園球児ではありません。

高校時代、大船渡高校野球部は夏の甲子園に向けた岩手県予選大会で、予選敗退しています。

当時まだ100球ルールがない時代でしたが、大船渡高校野球部の國保監督が『故障予防のため』という理由から、高校3年生だった佐々木朗希選手を投手・打者ともに出場を回避させたことも一因となり、甲子園への切符を逃したと言われています。

このことに関しては、大船渡高校に苦情の電話が殺到したという有名な話があります。

それだけ、佐々木朗希選手は日本野球界の逸材であり、将来の大物選手として期待され大事に育成されてきたことが伺えます。

25歳ルールとは?

さて、今回のメジャー移籍に関する騒動で着目すべきは「25歳ルール」の問題です。

「25歳ルール」とは2016年12月に決められた、メジャーリーグの「労使協定」のことです

簡単に言うと、「若い海外選手を獲得するときに使っていい金額の制限」です。

契約金や年俸など含めて、1チーム年間475万~575万ドル(約5億3400万~6億4700万円)までしか使ってはいけない!というルールです。

年齢が25歳未満に引き上げられたことで、若くして米大リーグ移籍を目指そうとする日本人選手が減り、日本球界の空洞化が回避できるとあって、日本球界にとってはメリットがあるルールのようです。

MLB25歳ルールの条件

  1. 25歳未満またはプロ6年未満の海外選手との契約に使える金額が、契約金と年俸などこみで年間475~575万ドル(5.4~6.5億円)
  2. 25歳ルール該当選手のトレード放出により、上限枠が最大75%まで引き上げられる。575万ドルの球団は最大で1006万ドルとなる)
  3. マイナー契約からのスタート
  4. ポスティングシステムの譲渡金は2,000万ドル(約23億円)は25歳ルールには影響しない。(2017年11月2日現在)
  5. 限界枠を超えるとペナルティーとして、翌年の最高契約金が30万ドルとなる。(2017年7月からは11球団がペナルティーの対象
マイナーからの契約となるので、その年にメジャー昇格したとしても年俸は最低保証金額である54.5万ドル(6,200万円)になると予想されます。

25歳ルールのなぜ?

ではなぜ「25歳ルール」のようなものができたでのでしょう?

理由のひとつは、2015年にアメリカとキューバの国交が正常化されたことで、キューバ人選手を獲得したがるメジャー球団が続出したことがあるそうです。

キューバと米国の国交正常化を受け、キューバ選手の獲得競争が激化したことがある。昨年2月には、ヤンキースなどとの激しい争奪戦を制したレッドソックスが、キューバ出身のヨアン・モンカダ(当時19)を推定3150万ドル(約37億5000万円)の契約金で獲得。この契約は、海外選手の移籍規定に基づく限度額を超えていたため、レッドソックスは巨額の罰金を支払っている。

また、この背景には

「一定の規制を設けなければ、契約金が高騰し、資金力に乏しい球団は海外の有力選手の獲得競争に参戦できない状況に陥る。その結果、戦力均衡が保てなくなるということで、メジャー球団間でルールが必要になった。

一方、実績のない海外選手が球団と大型契約を結ぶことで、すでに所属している選手は年俸が抑えられ、メジャー契約ができる「40人枠」から漏れる可能性も出てくる。マイナーからメジャーにはい上がってきた選手にとっては、決して歓迎できる状況ではない。今回の新協定は、MLB側と選手側の利害関係が一致した。

以上のような理由があるようです。

実際のところ、選手にとっては得なの?損なの?という結論でいうと、メジャーリーグに在籍している選手と日本の球団にとっては得、他国からメジャーリーグ入りしたい若者にとっては損と言えるかもしれません。

あゆむ
あゆむ

日本の球団側も、人材流出を食い止められるというわけだね!

まぁ、損得で測る問題ではないと思いますが。。。

メジャーリーグに移籍するためのシステム

メジャーリーグへの移籍会見などでよく耳にする言葉がありますが、移籍方法のようです。

どんな違いがあるのでしょう。

3つの移籍方法

  1. FA (フリーエージェント)制…会見などでは、「FA宣言をする」という言葉が用いられています。日本球界では、1軍に9年在籍すれば、選手個人が自由にどの海外球団とも移籍交渉できる「海外FA制度」があります。
  2. ポスティング…の場合は移籍すれば日本球団に“譲渡金”が入りますが、その上限はルールによって2000万ドル(約22億4700万円/10月11日現在。以下同)と決められています。選手の所属球団は金額を決め、メジャー球団がその値段を「払います」となれば、それぞれの球団と選手が交渉できるという流れです。
  3. 自由契約…自由契約になった選手は、この時点で自由に移籍球団を探すことができます。 実績のある選手は他球団からのオファーを受けて移籍します。 特に「チームの若返り」など、球団の方針が変わる際には実力選手が自由契約となるケースもありますね。

現役MLB選手一覧(2024年1月現在)

名前 MLB初出場 MLB所属球団
今永昇太 シカゴ・カブス(2024年- )
上沢直之 タンパベイ・レイズ傘下(2024年-)
大谷翔平 2018年3月29日 ロサンゼルス・エンゼルス(2018-2023年)
ロサンゼルス・ドジャース(2024年-)
菊池雄星 2019年3月21日 シアトル・マリナーズ(2019-2021年)
トロント・ブルージェイズ(2022年- )
鈴木誠也 2022年4月7日 シカゴ・カブス(2022年- )
千賀滉大 2023年4月2日 ニューヨーク・メッツ(2023年- )
ダルビッシュ有 2012年4月9日 テキサス・レンジャーズ(2012-2017年)
ロサンゼルス・ドジャース(2017年)
シカゴ・カブス(2018-2020年)
サンディエゴ・パドレス(2021年- )
筒香嘉智 2020年7月24日 タンパペイ・レイズ(2020-2021年)ロサンゼルス・ドジャース(2021年)

ピッツバーグ・パイレーツ(2021-2022年)

藤浪晋太郎 2023年4月1日 オークランド・アスレチックス(2023年)
ボルチモア・オリオールズ(2023年)
前田健太 2016年4月6日 ロサンゼルス・ドジャース(2016-2019年)
ミネソタ・ツインズ(2020-2023年)
デトロイト・タイガース(2024年- )
山本由伸 ロサンゼルス・ドジャース(2024年- )
吉田正尚 2023年3月30日 ボストン・レッドソックス(2023年- )
松井裕樹 サンディエゴ・パドレス(2024年- )

 

移籍問題で話題となった選手たちの入団経緯

ダルビッシュ有

ポスティング…日本人史上最高額の5170万3411ドル(約38億8000万円)とされるポスティング移籍金が日本ハムに支払われました。

前田健太

ポスティング…オフにポスティングシステムを利用してのMLB挑戦意思を球団に伝え、1譲渡金設定2000万ドルでポスティングが球団より容認されました。

大谷翔平

ポスティング…MLBの全30球団に対し、「自身に対する評価」「今後の育成法」、といった内容を書き記した質問状を送付しました。23歳だった為、マイナーリーグ契約を結びルーキー級アリゾナリーグ・エンゼルスに配属されています。

菊池雄星

ポスティング…マリナーズと4年契約で正式に契約を結びました。契約は3年4300万ドルを基本とし、3年目終了時マリナーズと4年契約で正式に契約を結びます。西武が今回の契約で手にする譲渡金は、菊池側に保証されている4年目の1300万ドルを含めた5600万ドルに対する金額となりました。

鈴木誠也

ポスティング…契約当時の日本人野手としては史上最高額となる5年総額8500万ドルの契約を結びました。広島には1462万5000ドル(約16億8000万円)の譲渡金が入りました。

吉田正尚

ポスティング…契約は5年総額9000万ドル(約126億円)と大型で、日本人野手がメジャーに移籍する際に結んだ契約金として最高額を更新。オリックスには1540万ドル(約21億6000万円)の譲渡金が入りました。

千賀滉大

FA…FA権を行使しました。育成選手ドラフト出身の選手では初のメジャーリーガーとなっています。

藤浪晋太郎

ポスティング…1年契約で年俸は325万ドル(約4億3900万円)。阪神には65万ドル(約8800万円)の譲渡金が入りました。

 

こうしてみると、ポスティングでの移籍が大多数ですね。

ポスティングのメリットが大きいということでしょうか?

ポスティングのメリットとデメリット

メリット

  • 選手へのメリット…選手はFA権の取得を待たずにメジャーに挑戦することが可能です。選全盛期をメジャーで過ごせる可能性は十分にあるでしょう。
  • 球団へのメリット…譲渡金が入札した球団から支払われます。その資金を戦力補強に充てたり設備投資に使用したりすることが可能です。

デメリット

現在、制度が改正されてきてデメリットは減りつつあります。球団側としては、やはり中心選手を早期に放出してしまうことは最大のデメリットでしょう。

かつては、移籍球団を選べないというデメリットなどもありましたが、制度改正がなされています。

ポスティングが多い理由

日本人選手で初めてポスティングにかけられたのは、イチロー選手です。

当時の同制度は希望球団によるオークション方式で、マリナーズが1312万5000ドル(当時のレートで約14憶7000万円)で交渉権を落札。赤字経営だったオリックスにとって大きな収入となったのをきっかけに、ポスティングシステムが普及していきました。

 

あゆむ
あゆむ

移籍には大きなお金が動くんだなぁ~!

友犬A
友犬A

結局、契約ごとにはお金が絡むってことだよ。お金は大事だよ。

佐々木朗希選手メジャーリーグ移籍への可能性

それでは、ようやく行われた契約更改の会見の内容を見てみましょう。

インタビューの中で名前が出されていた山本由伸選手ですが、やはり実績がある選手ですね。

――山本由伸投手がドジャースと契約したが、メジャー挑戦にあたって山本投手と比べて何が足りない?
「全部じゃないですか」

山本由伸選手

ポスティング…オリックスには約72億円の譲渡金が入りました。

6年目の2022年は2年連続の開幕投手を務め、6月18日にはノーヒットノーランを記録するなどリーグ連覇・26年ぶり日本一達成の中心選手としてチームを支えました。最終成績は26試合に登板して15勝5敗、防御率1.68、205奪三振、表彰は最優秀選手賞(MVP)、ベストナイン賞(投手)、沢村栄治賞、三井ゴールデン・グラブ賞(投手)、獲得タイトルは最優秀防御率投手賞、勝率第一位投手賞、最多勝利投手賞、最多三振奪取投手賞とプロ野球史上初の2年連続投手四冠に輝きました。

佐々木朗希選手、まずは実力を磨いていくということで今季はキャリアハイを誓うとのことでしたね。

ところで、MLB サイトから出てきた記事に、来季のオフにはポスティングシステムを使って移籍契約を結んでいるかもしれないとの話が出ています。

まとめ

今回の騒動では日米プロ野球界の人材確保に対する思いが、よく伝わってきましたね。

最後に、関係者の取材内容を紹介します。

現在22歳。現行ルールでメジャー契約を結べる25歳になれば、3億ドル(約432億円)の大型契約を結ぶ可能性がある山本を上回ってもおかしくない逸材だ。ただ23歳で海を渡った大谷と同様にマイナー契約となる22歳でも挑戦したい気持ちは強く、本人もかねて「年齢問わずに行きたい」と語っている。

米メディアによると、佐々木朗サイドはすでに大リーグ球団と接触し、本人周辺の関係者もメジャー挑戦を後押ししているという情報もある。

メジャー挑戦が時期尚早といえる側面もある。佐々木朗は年間を通じて投げた経験がないためだ。ポテンシャルはメジャーで投げても既にトップクラスだが、体力面の課題を克服することが最優先。吉井監督も5年の育成計画を掲げており、来季が5年目だ。

現実的には来季もロッテでプレーしながら、再来年以降のメジャー挑戦を目指すことになりそうだ。

しかし、お金の問題を多少なりともはらんでいるのが厄介なところです。

あくまでも仮定の話だが、来オフか来々オフに佐々木がポスティングでメジャー挑戦した場合、25歳未満の海外FAとの契約金と年俸は、大リーグの現行ルールにより最高でも500万ドル(約7億4000万円)程度に制限される。その金額だと、ロッテへの譲渡金は最高100万ドル(約1億4800万円)にとどまる。

ともかく、今回の騒動は佐々木朗希選手への期待が大きすぎたことから起こったことでないかと、再認識したところです。

「目の前のことをやる」

まずは日本で結果を残し、ファンからも球団からも快く送り出される選手になることが重要かもしれません。

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